三心通信 2019年1月

 

これまで比較的暖かい冬でしたが、今月10日から13日までの接心中に少し雪が降りました。そのあともそれほど寒くはなかったのですが、昨日夕方から雪が降り始め、初めて10センチほど積もりました。気温もマイナス16℃まで下がりました。積雪のため今日の日曜参禅会は数名しか参加者がありませんでした。ようやく本当の冬が来たという感じです。

 

正月の三ヶ日は例年休みにしています。元旦に日本の方々とアメリカやヨーロッパ在住の日本人の方々に念頭のご挨拶の手紙を書き、この3日で発送できるようにしております。それ以外には仕事はせず、なるべくゆっくりとするように努力しております。今年も娘の葉子とボーイフレンドのベネットが年末から来てくれて家族揃って新年を迎えることができました。

 

今回の接心は州外から来た二人をいれて合計8人ほどで坐りました。いつも通り、少人数で静かな接心で新しい年を始めることができました。毎年のように言っていることですが、1969年1月の接心が私の安泰寺での最初の接心でした。今年で50年になりました。20歳の大学生だったのが70歳の老人になったというだけで、坐禅しても何にもならないという澤木老師のお言葉の見本のようなものだと思います。それでも、この50年の間、一人だけで坐った接心は一度もありません。京都曹洞禅センターの頃、5日間の接心の3日目まで誰も来なくて一人で坐ったことがありましたが、いつもどなたかが一緒に坐ってくれました。自分の人生の20代からその時その時の年齢に応じ、自分や家族の生活状況や、身の回り、また社会の状況、日本とアメリカの違いなど、様々な風景がありましたが、それらの全てを坐禅を中心にし、坐禅に見守られて、また自分の人生や社会の移り変わりを坐禅から見ながら、ここまで歩んで来ることができたことに感謝せずにはおれません。

 

三心寺の接心は昨年夏から2023年の私の引退まで、何か事情があれば私が代わりますが、原則として副住職の法光が責任を持ってくれるようになりました。ですので接心を坐るのは私の住職としての職務ではなくなりました。他の仕事との兼ね合いや体調によって、坐れるだけ、あるいは坐りたいだけ坐ることが許されるようになりました。今までも責任上仕方なく坐っていたというわけではありませんけれども、これはやはり気分的には大きな変化です。

 

これからは、年に3回の眼蔵会と、現在進行中の本の企画を仕上げることが中心になります。新しく訳した「長円寺本随聞記」、「道元禅師和歌集」の出版、眼蔵会の講義をもとにした、「坐禅箴」、「袈裟功徳」、国際センターのニュースレター「法眼」に連載した「全機」「四摂法」、「摩訶般若波羅蜜」、「一顆明珠」をまとめて本にすること、毎年7月の禅戒会でしてきた「教授戒文」の講義をもとに本を作ること、ミネアポリスで行なった「普勧坐禅儀」のトランスクプションをもとに新しく書くこと、などなどです。今三心寺の勉強会で少しづつ訳しながら読んでいる「道元禅師語録」もなんとか形にしたいと願っております。衰えゆく体力、脳力、思考力、持続力、集中力などとの兼ね合いで全部できるかどうか分かりませんが、これまで通りぼちぼちと行けるところまでは行こうと思っています。人生の店じまいの準備を始めなければなりません。

 

1月21日

 

奥村正博 九拝