三心通信 2018年4月

 

3月から4月半ばにかけて、温度が低く、雨の日が多く、例年に比べると花々が咲くのがかなり遅れました。境内の桜は今が満開です。ようやく春らしい気候になってきました。

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 4月8日に仏降誕会の法要をしました。例年のようにその翌日から、7月9日の授戒会まで続く3ヶ月の夏期安居が始まりました。今年は、発心・マイケル・ショーフさんが首座を務めています。インディアナ州出身で、ブルーミントンにあるインディアナ大学で美術を先攻した芸術家です。生活のためには自営で建築の仕事をしてきました。三心寺が創立される前からあった、ブルーミントン禅センターの創立時からのメンバーですので、長年坐禅修行を続けている人です。

 

今年は、2003年に三心寺が創立されて15周年になります。それで5月の眼蔵会を記念行事を兼ねて特別なものにすることにしました。いつもは、私一人が講師で、1時間半の講義を1日に2回、5日間で合計9回するのですが、今回は外部から2人の講師に来てもらって、3人で3回ずつ分担することになりました。講師は、シカゴに禅センターを持つ太源・ダン・レイトン師と、ミネソタ州セント・ポールにある禅センターの前主任教師の白蓮・レギヤー師です。講本は太源師の希望で「正法眼蔵行仏威儀」になりました。「行仏威儀」の巻を3つに分けて、夫々が3分の1づつ講義します。最終日に、15周年記念として講師3人がパネル・ディスカッションをします。そのあと、レセプションがあります。

 

まだ国際センターに勤めていた2002年に、サンフランシスコ禅センターを会場として初めて眼蔵会を行いました。講本は「山水経」でした。この時は7日間の眼蔵会で13回の講義をしました。その時の講義のテープ起こしをしてくれる人がありました。それを元に私が書き直し、弟子の一人がエディットしてくれたものが、この度ウィズダム社から出版されました。最初の講義をした時から15年以上かかりましたが、すべてボランティアでの仕事ですので、どうしても時間がかかります。このあとも、私の講義を元にした正法眼蔵の解説書を作成していきたいと願っています。

 

「眼蔵会」以外には、15周年記念として、Dogen Instituteから二冊の本が出版されました。一つは私と弟子たち10人が、21世紀における菩薩の誓願をテーマとして、書いた文集 Boundless Vows, Endless Practice: Bodhisattva Vows in the 21st Centuryです。私は序文として、パート1に初期曹洞宗の祖師がたの誓願について、道元禅師、義雲禅師、義尹禅師の発願文を紹介しながら書き、パート2には内山老師の「自己」に収録されている「ある出家者の手記」から内山老師の誓願について書きました。200頁ほどの、本格的な本になりました。

 

もう一つは、創立10周年記念の時に作った内山老師の「生死法句詩抄」の改訂版です。旧版は藍染の布を表紙に使った、かなり凝った製本をしましたが、今回はソフトカバーで私の弟子の高橋慈正さんの写真が入りました。両方ともオンデマンドで、アマゾンから買うことができます。副住職の法光さんが編集やデザインの作業を担当してくれました。

f:id:sanshintsushin:20180429115512j:plain    内山老師の折り紙

 

3月の「三心通信」で書きましたように、私の日本語の本が刊行されることになり、それを機縁として7月に日本に行くことになりました。20日から22日まで名古屋の尼僧堂での緑蔭禅のつどい、26日東京グランドホテルでの「禅といま」の夏期大学、27日に藤田一照さんとカルチャーセンターで坐禅と講義、29日には一照さんのおられる茅山荘で対談、30日には鎌倉で山下良道さんと対談をさせていただくことになりました。本の内容は、もう20年以上前に主にクリスチャンの方々を対象にした「般若心経」の講義をもとにしたものと、最近英語で内山老師から受けた教えと私が歩んだ道について書いたものをもとに日本語で書きなおした「只管打坐の道」という原稿です。

 

3月22日

 

奥村正博 九拝