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三心通信 2017年12月

 

2017年も残すところ3日となりました。ここ数日、寒い日が続いています。ブルーミントンの今朝の気温はマイナス7度Cです。最低気温がマイナス8度Cで、最高気温がマイナス5度Cですので、一日中気温がほとんど変わらないようです。先日、ここよりもっと寒いミネソタ州では、マイナス38度Fになり、1924年以来の最低気温を記録したとのことです。これくらいの低い気温になると、摂氏と華氏はあまり違わないとのことです。要するにマイナス40度Cくらいになったということです。私がミネアポリスに住んでいた間にも、マイナス30度くらいになったことがありましたが、低温には慣れている町でも学校や公共施設は閉鎖になりました。この冬は寒くなりそうです。

 

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11月27日に曹洞宗宗務庁で行われた宗典翻訳事業の英訳「伝光録」の完成と曹洞宗国際センター設立20周年を記念してのシンポジウムに参加するために東京に行きました。5人の発表者の一人だったのですが、私以外は皆さん高名な学者さんたちで大きな翻訳事業に携わっておられる方ばかりでした。私のように個人で細々と翻訳をしているものが出る幕ではないと、余り気乗りがしなかったのですが、国際センターの20周年でもあるので、お断りすることができませんでした。それでも駒澤大学で英語を教えていただいた小笠原隆元先生、国際センターで仕事をしていた頃にお世話になった何人かの方々、旧友や知人に会うことができてシンポジウムの間以外は楽しい時間を過ごさせていただきました。

 

そのあと、大学時代の友人2人と広島に行き、車椅子で生活している学生の頃からの友人のお寺を訪ねました。そのうちの一人とは30年ぶりくらいに会うのでしたが、昔に帰ったような気がしました。そのあと、尾張一宮、京都、大阪で安泰寺のころに一緒だった人たちを訪ねたり、今年亡くなった友人の御墓参りをしたりしました。今回もまた駆け足旅行で、毎日新幹線で移動し、違う場所で眠るということになりました。限られた時間の中でなるべく多くの人たちと会いたいのでそうならざるを得ないのですが、大きな荷物を引きずって旅行するのは、ぼちぼち限界だという感じがしました。

 

広島の友人から、大中寺時代の内山老師が写っている写真をいただきました。近くのお寺の先代か先先代の方が大中寺で修行されたとのことでした。勿論コピーをしたものですが、老師は1941年に29歳で沢木老師から大中寺に於いて得度を受けられましたので、30歳になられたばかりの頃の写真です。

 

また京都の鷹峰道雄さんの泉谷寺を訪問させていただいた折、思いがけなく内山老師のご揮毫をいただきました。一つは「水鳥樹林念仏念法念僧」と書かれたもので表装をしていただいて、掛け軸になっているものです。もう一つは、浜坂の安泰寺の本堂の前の「帰命」の額のために書かれたもので、使われなかったもののようです。老師は揮毫を頼まれてもいつも断っておられたので、このようなものがあることさえ私は全く知りませんでした。ですので驚くとともに、道雄さんのご法愛に深く感謝いたしました。三心寺に帰って、私の書斎に内山老師の折り紙の観音様、沢木老師、内山老師、浄心さんのご遺影をお祀りしてある壇の上に掛けさせていただき、毎朝坐禅の後に三拝をしております。

 

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1996年に出来た私の唯一の日本語の本「般若心経を語る」が再刊されることになりました。カトリックの信者の人たちが自主的に仏教とキリスト教を勉強するために結成された東西の会の集まりで私が「般若心経」について話したもののテープ起こしをしていただいたものに加筆訂正をし、会員の方々が手作りで製本されたものです。今年、三心寺で得度を受けた高橋慈正さんの努力で港の人という出版社から出していただくことになりました。私は日本では全く知られておりませんので、自己紹介を兼ねて、これまでの歩みを書いたものを追加した方がよりいということで、日本から帰ってから「只管打坐の道」という題で書き始め、第一稿を書きおわったところです。

 

そのあと、今年の1月まで3年ほどかかって翻訳した「正法眼蔵随聞記」の20ページ足らずのイントロダクションを英語で書きました。1988年に面山本の英訳を京都曹洞禅センターから出し、今でも宗務庁の教化資料として出ていますが、今回は長円寺本を底本として訳したものです。弟子の一人の道樹さんが現在、エディットしてくれています。アメリカの出版社から出るように願っております。

 

これまで何年か、三心寺の電子ニュースレターに道元禅師の和歌の翻訳と短い解説を連載してきましたが、今月で「道元禅師和歌集」に収録されている和歌を完了しました。これも弟子の浄瑩がエディットしてくれています。いずれ本にしたいと考えております。

 

来年からは、面山さんが「永平広録」から選ばれた道元禅師の漢詩を集めた「句中玄」の中の漢詩を毎月紹介する予定です。

 

12月29日

 

奥村正博 九拝