三心通信 2018年6月

 

日本では梅雨の最中で鬱陶しい天気が続いていることでしょう。この何日かブルーミントンでも、一日中降り続くというわけではありませんが、毎日のように雨が降り湿度の高い日が続いています。温度も30度前後まで上がります。

 

お寺の1エーカー弱ある境内は、建物のあるところと花壇、駐車場以外はほとんどが芝生ですが、芝刈りが大変なので、芝生ではなくて、この地方の自然の草花を育てることになりました。その第一歩は一旦芝生を枯らして育てる植物の種をまくことです。今ではその部分は茶色になっています。種がまけるのは次の冬の間で、来年の春には自然な草花が咲くようになるとのことです。アメリカの大都市以外で土地が広くある町では、夏の芝刈りが一大事業です。普通の家庭でもガソリンエンジン付きの芝刈り機を持っています。芝刈りを怠けていると近所や町から苦情がきますので、週に一度はきれいにしなければなりません。三心寺の境内の芝を刈るにはおよそ2時間はかかります。もう少し大きな土地を持っているところは、トラクターを小さくしたような四輪の芝刈りを使っています。この時間と、ガソリンの消費と騒音は秋になって芝生の成長が止まるまで続きます。その時間や労力がない場合は業者に依頼しなければなりません。

 

6月は例年のように5日間の接心から始まりました。5月30日の夕刻にオリエンテーションと一炷の坐禅があり、坐り始めるのは31日の早朝4時からでした。いつものように少人数ですが、静かで充実した接心でした。

 

16日に本則行茶、17日には首座法戦式がありました。今年の首座は発心・Shoafさんです。インディアナ州の出身でブルーミントンにあるインディアナ大学で美術を学びました。そのあとずっとこの町に住んでいる人です。三心寺が創立される以前からZen Center of Bloomingtonのメンバーで長年坐禅修行をしています。生活を支える職業としては自営の建設業をしています。ですので、三心寺創立以来建物の維持、補修などで何かと助けられています。この10年ほどはワークリーダー(直歳)として作務の中心になってくれています。

三心寺の夏季安居では毎年、首座が日曜日の法話をすることにしています。今年は「禅とアート」というテーマで、禅と詩歌、建築、絵画、などについて話をしてくれました。

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17日(日曜日)の首座法戦式には例年のように秋葉玄吾北アメリカ国際布教総監に助化師としておいでいただきました。飛行機の遅れもあって、15日のほとんど真夜中にインディアナポリスの空港に到着され、空港付近のホテルに一泊、16日のシャトルバスでブルーミントンに来ていただきました。17日法戦式が終わると昼食もされずに空港に向けて出発されるというタイトなスケジュールでおいでいただき誠にありがたく申し訳なく存じました。おかげさまで、30名ほどの人が集まり滞りなく法戦式は円成しました。

 

7月の4日から9日まで禅戒会があります。例年通り、最終日には受戒の式があります。今年は3人の人が菩薩戒を受けて仏弟子になります。今年から絡子の把針は4月に行う1週間のリトリートでしてもらうことになっています。ですのですでに絡子も出来上がり、法名も決まって、血脈の準備なども始めています。

 

私の日本語の著書は「今を生きる 般若心経の話」というタイトルになりました。編集、校正作業はすでに完了し、7月初旬には印刷も出来上がるとのことです。これを機会として16日に日本に出発し、何箇所かで話をさせていただきます。20日から22日までは名古屋の愛知専門尼僧堂の緑陰禅の講師として4回の講義をします。26日には東京グランドホテルで「禅といま」の夏季大学で講師の一人として「菩薩の誓願」について話します。27日には新宿の朝日カルチャーセンターで藤田一照さんと一緒に坐禅についてと「現成公案」について講義をします。29日には一照さんの茅山荘で対談。30日には山下良道さんと対談します。

 

 

自分でも信じられませんが明日は誕生日で70歳になります。体力や脳力は目に見えて衰えていますが、70歳になってもできる仕事に恵まれていることに感謝せざるを得ません。

 

6月21日

 

奥村正博 九拝